群衆の中の猫
 [メイン][ぶらり散歩]
  【散策ルート】
    JR北千住駅 → 喫茶店『蔵』 → 小峰邸 → バス停
2002年4月7日、はれ。
ホントに今日は天気のいい日。でも午前中は部屋でゴロゴロ。そして昼過ぎに相方氏を仕事場まで送り、そのままバスへ乗って北千住へ。
午後4時頃、JR北千住駅前に到着。まずは駅前にまっすぐ伸びる“きたろーど1010”という駅前通りを歩くが、めぼしいものが見つからない。そのまま横道にそれて、雑誌「散歩の達人」に載っていた『蔵』という喫茶店へ行ったのだが、店には明かりがついてなかった。どうしようもなく、次の目的地のある千住大橋の方へと歩くことにした。
千住大橋近くの小峰さん家の前。ちょうど10年前、故・尾崎豊氏はこの場所倒れているところを救急車で運ばれ、搬送先の病院で亡くなった。ぼくにとってはかなり衝撃的なニュースだった。。。
10年前の僕はまだ高校3年生。両親にさえ心を開くことができず、目の前に立ちはだかる壁から逃げようとしてしまう心の弱い少年だった。大袈裟かもしれないけど、「生まれてこなければよかったんだ。」とさえ思っていた時期もあったが、尾崎の歌はいつもぼくの心の支えになっていた。そして、ぼくに生きる力を与えてくれたのだ。
そして今日。初めてこうして尾崎の死と対面できた気がする。小峰さんの家は何の変哲もない古ぼけた家だが、そのときばかりはとてもかけがえのない家に見えた。
ぼくの身体は急に鉛のように重くなった。ぼくは近くに見つけた公園のベンチに腰掛け、あったかい缶コーヒーを片手に暮れていく北千住の空をぼーっと眺めていた。これから町屋を目指そうと思っているのに、辺りはすっかり夕焼け空になってしまっていた。
ゆっくりしている時間もないので、足早に公園を出発。京成本線沿いを西へ西へ・・・しばらく歩くと、隅田川にぶつかると思っていたら、高いコンクリートの壁にぶつかった。川の流れすら見ることができないまま、ぼくは向こう岸に渡る橋を探して、住宅街をひたすらさまよった。途中、自転車に乗って鬼ごっこする小学生たちの奇声に怯え、曲がり角でフッと現れた大型犬に驚かされたり、ぼくは群衆の中の猫のように身を潜めて歩きつづけた。
気が付けば、午後7時過ぎ。町屋散策はまたの機会にすることにして、ちょうど見つけたバス停で帰ることにした。
志半ばにして、今回の散策は終了。
バスの窓から見た隅田川沿いの風景がキレイだった・・・。